元女性社員(89)が顧客から19億円超をだましとった疑いのある問題で、第一生命保険は9日、金融庁へ報告書を提出し、原因分析や再発防止策を公表した。好成績で与えた「権勢を誇示」するほどの特権的な地位、日常的な管理・監督者の不在、研修実施など必要な対応の欠落、不審な情報を得つつ生かせなかった部門間の連携不足……。ずさんな内部管理体制が報告内容から浮かび上がる。
元社員は山口県内で保険を半世紀以上売り続けた成績優秀者。自分に認められた「特別枠」を用いて高金利で運用する、とうそを顧客へ持ちかけ、お金をだまし取った疑いがある。被害額は10月2日に公表後の追加分も含め、24人の計19億5100万円にのぼる。
同社の説明資料によると、元社員は山口県内の徳山分室(周南市)勤務だったが、地元の山口支社でなく本社組織の西日本マーケット統括部(福岡市)に所属していた。距離が離れているため「日常的な活動状況の確認や指導を行う管理者が不在」だったという。
約4万4千人の営業社員のうち特に好成績のため、社内唯一の肩書「特別調査役」を与えられて「一定の影響力を有する存在」に。特別な処遇を背景に「権勢を誇示しうる状況を作ってしまった」という。社内では元社員に能動的に関わる意識が薄れて、適切に管理・指導できない状況につながった。定期的に実施する内部監査やコンプライアンス研修も不十分だった。
同社は不正に気づく予兆を何度…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル